on-ordの日記

土木遺産など、出先で見たもののメモです。

日芳橋(岡山県井原市)

山陽道の橋。大正15年竣工の3径間鋼ボーストリングトラス橋。どうも現在では、岡山県下のボーストリングトラスの橋はここくらいなものらしい。

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橋は小田川に架かる。

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南詰。親柱正面には、「日芳橋」「ひよしはし」とある。

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親柱の側面に大正十五年三(月以下不明)と竣工年がある。

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割と最近塗装されているよう。

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左書きで"大正十四年 横河橋梁製作所 大坂工場製作“とある。(写真からの解読なので若干の不安あり)

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写真では見辛いが、エンボスで鋼材に「BS 12X3 1/2 SEITETSUSHO YAWATA ヤワタ」と刻まれている。(写真からの解読なので若干の不安あり)

ってことは1901年に操業を開始した官営八幡製鉄所で生産された鋼材なのか。

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北詰。

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撮影:2020/11/15

本川隧道(愛媛県今治市上浦町井口)

場所は芸予諸島の一つ大三島

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現地では県道のアンダーパスのボックスカルバートになぜか扁額がついてら、としか思っていなかった。ちょっとしたネタのような感じに捉えていた。

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少し調べたところ、これはどうも天井川隧道らしい。ここくるまでに上の県道を通ったにも関わらず全く気づかなかった。川があるなとは思っていたが。無知はいかん。

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坑門から延びていく県道51号を見る。

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つまり本川が上を流れているということらしい。水はあまりなかったような気がする。

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勉強になった。

マフ巻隧道探検隊さんの記事で勉強させていただきました。)

撮影:2021/1/27

津和谷橋(岡山県高梁市川面町)

国道180号の旧道にあるRC桁橋で、架設は1937年。親柱は2/4残るのみで、どちらも竣工年だった。名前は高梁市の「橋梁の長寿命化計画」のリストから、橋の長さと路線名(市道鳴戸市場線)から津和谷橋で間違いなさそう。このあたり、字も津和谷のようなので。

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地味ではあるが、やはり雰囲気がいい。親柱はちょうど対角に残っているが、どちらも竣工年。おそらく名前があった方が両方とも失われている。

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高欄にはアーチ状の意匠が施されている。向こうに見えるのは高梁川

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橋は山からの水流に架かる。奥には砂防堰堤が見える。

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練石積みの堰堤。

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昭和十二年二月竣功。

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高欄はもしかしたら開腹アーチみたいなデザインかと思ったが、そうではなかった。勝間橋の逆パターンみたいなデザイン。

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撮影:2021/5/30

旧御殿水源地(香川県高松市鶴市町御殿)

高松市街の西、峰山の山裾にある旧浄水場で、現在は高松市水道資料館となっている。高松市への近代水道として、大正10年に給水を開始した。喞筒場(そくとう)や事務所など6件が登録有形文化財に登録されている。喞筒場は近代土木遺産2800でもAランクに選定されているため、見学した。

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敷地の北に駐車場があった。北門より施設へと向かう。

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大正7年頃竣功の空石積み擁壁も文化財に登録されている。こういう昔の素晴らしい石積みってそこらへんにも結構あると思うんですが。なんかないとスポットライトが当たらんのですよね。

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北門より。門柱も文化財に登録されている。扉は後付。手前にある建物が旧事務室で、奥に見えるのが旧喞筒場(ポンプ室)。

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大正6年竣工の旧事務室の正面。塗り直されてだいぶvividではあるが、正面以外も素晴らしいので、自分的には全部正面みたいなもん。

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内部を見学できる。特になにも置かれておらず、広々とした空間になっている。見学者には優しく、トイレも設置されていた。

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とにかくこういう明治-大正期の洋風建物はとても好きだ。窓の格子の枠が広い部分から外燈が覗くのが、またいい。窓枠は木製で当時のものと思われるが、やはり元々こういう設計なのか。

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旧事務室の向かいにあるのが旧喞筒場で資料館となっている。竣工は大正7年

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手前には水道の鋳鉄管とポンプが展示されている。これまた鋳物好きにはたまらん。ポンプは楠上町(高徳線栗林駅のへん)で深井戸の補助水源で昭和2年から使われていたもの。

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中には、展示スペースがある。

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半地下のポンプ室がある。

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これまた煉瓦好きにはたまらん。

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旧喞筒場、南側より。

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入り口前には、高松城で出てきた江戸時代の井戸側(井戸の躯体みたいなもの)が移設展示されている。

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建物はL字型。Lのトン先の方。

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建物西面より。

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旧事務室のすぐ西にある倉庫。

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質素な造りだが、こちらも大正6年竣工の物件で、文化財に登録されている。

御殿水源地は、敷地の西側を流れる香東川の伏流水を取水しており、敷地の西の外れに煉瓦でできた集水渠の点検用マンホールがある。そちらも文化財に登録されている。見るのは忘れていた。とにかく洋風の建物やら煉瓦やら鋳鉄やら、好きな人には大変よろしいと思います。

撮影:2021/3/18

富隧道(岡山県小田郡矢掛町/倉敷市玉島)

県道35号富トンネルの旧トンネル。

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まずは隧道の西側より。現トンネル手前の分岐を少し行ったところにある。草で見えないが、トンネルの手前、ガードレールのあたりを川が流れていて、橋が架かっている。

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扁額には右書きで富隧道とある。

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昭和三十年四月竣功。

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隧道手前の橋。大渡川を渡る。いかにも昭和30年代の橋という感じがする。

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高欄の菱形の開口部に、なんとなく和を感じる。

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橋の上流に何かあるような気がして、来てみると砂防堰堤があった。

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空石積みのようです。人知れずあるが、綻びることもない。並々でない仕事をされていると思う。

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上流側はかなり土砂が堆積している。

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川沿いをゆくを道。すぐ右手を大渡川が流れており、先ほどの堰堤がある。

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ただ、植生が盛んなため道を通っていても全く気づかないだろう。たぶん年中見えないと思う。

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さて、隧道の東側へ来てみた。

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新トンネルの右奥に旧トンネルが潜んでいる。新旧横並びは全国的には珍しくないと思うが、岡山県では少ないような気がする。そもそも古い隧道が少ないからか。

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改めて、東側坑門。ポータルは西側と同様。扉は元から取れていた。

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少し見学させてもらった。内部の状況は悪くない。

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個人的には砂防堰堤にぐっと来ました。ただ建設時期はよくわからない。昭和20〜30年代頃か?セメント不足で空石積みのものも建設されていたそう。形状的には明治期ではないような気がするし。。。

撮影:2020/11/21