on-ordの日記

土木遺産など、出先で見たもののメモです。

美甘橋(岡山県真庭市)

美甘橋(みかも)。国道181号の旧道にあたる、新庄川に架かる橋。

1960年(昭和35年)竣工。RC開腹アーチ橋。

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昭和40年代頃に築造された現在の国道181号の美甘橋を斜め上に臨む位置にある。

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“大正の初に架けられた橋はどの橋も皆交通量の増加と交通機関の発達、特に自動車輸送の増加することによって、国道全体の道幅も狭隘を感じるようになり、強さを誇った鉄橋も安全度が低下したので、昭和三十年代に入ってからの、国道の道幅拡張計画にともなって、四十年間の親しみの深かった鉄橋の美甘橋が、三十五年三月鉄筋コンクリート橋に架け替えられ、四十年代に入ると全国的に道路改修の時代に入り、国道一八一号線の大改修が計画され、四十曲り峠がトンネルに替ると同時に、各所に路線の変更が見られ三十五年に架けられた美甘橋も太井ノ坂部落の高さに架け替えられ、今では上下二つの橋が見られるようになった。“

(村誌 美甘 下巻 第三編 交通 p451より)

と、あるので国道としての役割は10年ほどで終えたことになる。

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先々代、大正時代のアーチ鉄橋について

先々代のアーチ鉄橋はやや上流側、現国道の真下付近に架かっていたようで、苔むした橋台が残されていた。

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“美甘新庄の二ヶ村の産業の発達を促し、経済の発展に寄与し文化の導入に大きな力となった二つの橋も、木橋であったからおのづから耐久度に限界があり美甘橋は大正五年頃にアーチ式鉄橋に架け替えられた。先には釣り橋で大きく人気を集め、今度は濃朱に塗装された頑強な鉄橋が、前の釣橋の人気とは数倍の人気と評判を呼んだ。“

(同上 p450)

 

ここに記述のある二つの橋のうち、もう一つは同じ旧道区間にある真橋である。この二つの木橋(先代真橋と先々々代美甘橋)は明治国道24号の国道改修工事で架設されたもので、確実な記録はないものの、明治36、7年ぐらいのものらしい。

大正国道が定められた大正8年に先立っての、大正5年竣工ということであれば、明治国道の橋梁の遺構ということになるのだろうか。

この鉄橋の往時の姿を「目で見る 美作の100年」(郷土出版社、2000年刊 p.17)で拝むことができる。

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